トピックス
Home > トピックス > 建材中および環境大気中のアスベスト分析

掲載日 2009/3/27

建材中および環境大気中のアスベスト分析

 アスベスト(asbestos=石綿(法令関連部分では石綿と記載))は、耐熱性、耐薬品性に優れていることから、1970年から1990年にかけて大量に輸入され、建材として建築物に、また工業原料として広く利用されてきました。1995年の阪神淡路大震災で倒壊ビルの解体時にアスベストの飛散が問題となり、2005年にはアスベストによる健康被害が大きな社会問題となりました。アスベストは石綿肺、肺がん中皮腫等を引き起こします。石綿から労働者の健康を守るため、2005年石綿障害予防規則が制定されました。その施行後に明らかになった作業実態に係る知見を踏まえ、石綿による労働者の健康障害防止対策の充実を図るため、労働安全衛生法施行令の改正および石綿障害予防規則が改正されました(2006年9月1日施行)。労働安全衛生法施行令の改正で、(1)全ての石綿および石綿含有物の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止(代替困難な物を除く:化学工業、鉄鋼業等で使用されるガスケット、パッキン等)、(2)製造等の禁止対象の石綿含有率が、その重量の1%から、0.1%になりました。同時に石綿障害予防規則も改正され、建築物等の解体作業時、封じ込めおよび囲込み作業時においても、石綿等使用有無の事前調査、作業計画作成、作業の届出、特別教育、保護具の使用等が義務付けられました。特に石綿等使用有無調査では、建材中の石綿使用の有無を目視、設計図書等により調査し、使用の有無が明らかにならなかったときは分析調査し、調査結果を記録しておかねばなりません。また、作業環境測定結果とその評価の記録および健康診断結果の記録保存義務期間が、30年間から、石綿取扱作業に従事しなくなった日から40年間になりました。上述のことから、アスベストの分析は、建材中のアスベスト含有率測定および環境大気中のアスベスト濃度分析(石綿粉塵濃度測定)の2種類になることがわかります。

1)建材中のアスベスト含有率の測定
 日本工業規格「建材製品中のアスベスト含有率測定方法」(JIS A 1481 2006)は2006年3月25日に制定されました。2006年8月21日付で通達が出され、石綿含有率の定義が1%から0.1%に下がり、分析方法もJIS A 1481に一本化されました。その後、2008年6月20日付けで改正(JIS A 1481 2008)されました。本分析方法は、粉砕もしくは灰化した一次分析試料でアスベスト有無を識別し(定性分析)、アスベストなし」となれば分析終了、「アスベストあり」と判定された試料については、二次分析試料もしくは三次分析試料を作製し、アスベスト含有率を測定します。一次分析の手法は、位相差顕微鏡による分散染色法(試料を特殊な液で染色し、アスベスト種の屈折率の違いによる色の違いからアスベスト有無を識別する方法)およびX線回折(アスベストの種類に特有の回折角度から識別する方法です)の2方法で、両方法で定性分析します。
 二次分析試料は一次分析試料をギ酸で処理し、フィルター上に残さ分を捕集します。
 残さ率(ギ酸で溶け残った量)が0.15以下の場合は、二次分析試料中のアスベスト含有量を基底標準吸収補正法によるX線回折分析法により、アスベスト含有率を算出します。残さ率が0.15を超える場合は、三次分析試料を作製した上で、基底標準吸収補正法によるX線回折分析法によって、アスベスト含有率を算出します。アスベスト含有率が0.1%を超える建材は使用できません。また分析対象のアスベストの種類は、3種(クリソタイル、アンモサイト、クロシドライト)でしたが、今回の改正で更に3種(トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)が追加され、アスベスト全6種が分析対象となりました。(国内には存在しないとされていましたが、検出例が相次いだため追加)。また天然鉱物のバーミキュライトも分析対象となりました。

2)環境大気中のアスベスト分析(石綿粉塵濃度測定)
 環境大気中に飛散したアスベストの形状は繊維状です。その濃度分析法はメンブランフィルタ上に捕集した繊維状の粒子数を光学顕微鏡下で計数し、繊維数濃度を測定するものです。繊維数計数手法として光学顕微鏡(位相差顕微鏡)、走査電子顕微鏡法、透過電子顕微鏡法、分散染色法が知られています。中でも光学顕微鏡(位相差顕微鏡)法が広く使用されています。光学顕微鏡法の測定の流れは、試料捕集(捕集用ろ紙を通して空気を吸引)、顕微鏡標本の作製(指定の試薬でろ紙を透明にする)、石綿計数です。標本をカバーグラスに載せ、最初に位相差顕微鏡で、繊維状物質(長さ5μm以上、長さ/幅比3以上を計数)を計数し、生物顕微鏡に切り替えて同様に計数します。計数繊維数200本以上または計数視野数100以上が必要です。両方法の計数繊維数の差から、計算式で石綿濃度を算出します。その濃度単位は空気1L中のアスベスト本数です。環境大気中に飛散したアスベスト濃度は、アスベストの使用条件、測定地点と密接に関係するため、測定目的に応じた分析法(主に捕集条件が異なる)が選択使用され、以下の方法が知られています。

(1) 「アスベストモニタリングマニュアル(第3版)」(環境省大気環境局大気規制課)、
「環境庁告示第93号(石綿に係る特定粉じんの濃度の測定方法)」(環境省)
アスベスト取扱い事業所周辺(敷地境界)の大気測定等
(2) 「作業環境測定ガイドブックNo1」(「社」日本作業環境測定協会)
アスベスト取り扱事業所の大気測定等
(3) 「JIS K 3850-1空気中の繊維状粒子測定法 第1部位相差顕微鏡及び走査電子顕微鏡」
公共建築改修工事標準仕様書(平成19年国土交通省)で規定)
アスベスト除去工事現場の大気測定等
(4) JIS K 3850-1位相差顕微鏡、位相差・分散顕微鏡、走査電子顕微鏡(2006年10月20日改正)。
室内環境

 三菱化学アナリテックKN-ラボでは、建材中の石綿含有率、及び、環境大気中の石綿粉塵濃度測定を受託しています。また、三菱化学アナリテックでは、アスベスト診断士(「社団法人日本石綿協会認定」)が、分析、調査および種々の相談にアドバイスを行っています。ニチゴー九州大阪環境技術センターでは、環境中の石綿濃度測定を受託しています。

このページの先頭へ