食品偽装や輸入食品の安全性に関するニュースが頻繁に報道され、食の安全について消費者の関心が高まっています。食品偽装問題として、牛肉や鶏肉などの食肉の表示偽装、米の産地や銘柄の偽装など多くの表示違反(JAS法違反)事例が報道されており、消費者の食への不安を抱かせる要因となっております。ここでは、食の安全確保に必要な食品衛生検査のいくつかについてご紹介致します。
食品偽装への有効な手段として、DNA検査があります。DNA検査は、品種固有のDNA塩基配列を手がかりにし、その配列の違いから品種鑑別をする最新の技術であり、農林水産省では、米偽装取締りの際、科学的検証として銘柄米のDNA検査を実施すると報道されています。数%の混入でも検出可能ですので、米銘柄などの偽装はDNA検査でたちどころに確実に判別されます。DNA検査は、「PCR法」(Polymerase Chain Reaction)といわれる分子生物学の研究手法である遺伝子増幅技術を利用しており、微量の試料でも、DNA上の特定部分だけを指定し、指定部分を選択的に、しかも短時間で百万倍にまで増幅させることができます。米、肉、遺伝子組み換え作物でも、試料中の各品種特有のDNA配列を増幅検出することにより、表示品以外の品種混入の有無及び量が明らかにできます。牛肉偽装でも、DNA検査により、表示以外の肉種混入が明らかにされております。最新技術のDNA検査は、食品偽装減少に寄与し、食の安心確保に繋がると期待されております。三菱化学メディエンスでは、「コメの品種識別検査」や「肉種鑑別検査」などの検査を実施しております。
輸入冷凍ホウレン草に基準を超える残留農薬が検出され、輸入食品の安全性問題が発生したことを受け、2006年5月、食品に残留する農薬など(農薬、飼料添加物、動物用医薬品)の規制に、ポジティブリスト制度が導入されました。従来残留基準がなかった農薬には、暫定基準(国際基準、欧米の基準、農薬取締法等踏まえ設定)及び一律基準(0.01ppm:人の健康を損なうおそれの無い量として厚生労働大臣が告示)が定められました。農薬などが上記の基準以上に残留する全ての食品の販売が原則禁止になっております。ポジティブリスト制度導入により、基準設定農薬数は250から約800に増加しました。これに応じて、試験法も同時により多くの農薬を分析できる「一斉試験法」が通知されました(例:農産物、畜水産物対象に「GC/MS(LC/MS)による農薬の一斉試験法」)。試験法には、試料量、抽出溶媒、カラム、GC/MS(LC/MS)の測定条件、更に留意事項など厳格に規定されています。基準に適合しない食品は、地方公共団体、検疫所で回収、廃棄、輸入品は原産国へ積戻す措置が取られます。日本の食料自給率は40%と先進国では断然低く、今後も輸入に依存する状況です。全量検査ではない検疫所での水際検査以外に、更に流通過程で食品検査を適宜実施することにより、食品の安全がより確かに確保されると考えられます。「三菱化学メディエンス(株)」、「(株)ダイヤ分析センター」、「ニチゴー九州(株)」では、残留農薬検査を実施しております。
2000年には乳製品による過去最大の食中毒事件(認定患者数13,420人)があり、食中毒は今でも大きな問題となっております。食中毒を未然に防止するため、食品製造工程の危害要因の科学的な管理手法、低温輸送技術も開発されています。それでも2006年度の食中毒発生件数は1,491件、患者数は39,026人も出ており、食中毒の防止が如何に大変かを示唆しています。原因細菌はカンピロバクター、サルモネラ属菌、腸炎ビブリオが多く、原因ウイルスはほとんどがノロウイルスと言われています。サルモネラ属菌、腸炎ビブリオは年々減少傾向を示していますが、ノロウイルスは増加しています。食品の品質劣化の主原因は微生物であり、その特定には、培養による分析と遺伝子による分析がありますが、ノロウイルスはin vitroの培養系が確立されていないことから、遺伝子検査によって分析されています。ノロウイルスにはRNAしかないため(DNAがない)、このままではPCR法が使えないため、まず逆転写酵素でRNAからDNAを合成し、このDNAを前述のPCR法で増幅し分析されています。食中毒の原因究明には原因微生物の特定が不可欠であり、「ノロウイルス検査」は、ウイルス性食中毒の防止に大きく役立っています。
また、三菱化学グループでは、食の安全確保に不可欠な各種「食品衛生検査」を実施しておりますので、ご利用下さい。